005058 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

とねりのテケテケノベル

とねりのテケテケノベル

第2話

俺たちの集められた場所は、学校の北西部にある巨大な草原である。ここで今から俺たちはお互いが敵となり、お互いを倒していかなければならない。もちろん、殺してはいけないから教官が止めに入るわけである。そろそろ、始まる頃だが何やら辺りが騒がしい。教官や来賓のお偉いさんたちが何やら慌てふためいているように見える。

 どうやら、なんか問題があったらしい。
「なにかあったのか?」俺はカイツに尋ねた。教官たちのあわてようは尋常ではない。ほぼ確実に何か急を要す事態が起こったと見るべきだろう。
「わからない、だが何かあったのなら時期に話があるはずだろ」カイツはそういってただ首を振った。

 それから俺たちは教官に急遽集められた。そこで、学長から話しがあった。「えー、突然のことですが今回の卒業演習の中止を発表します。」その発表と同時に辺りからざわめきが起こった。「もちろん、みなさんがたの言い分も分ります。

 しかし、今、王国の存亡の危機に瀕してます。皇帝に忠誠を誓った100を超える王たちの多くが反旗を翻しました。そのため、我々騎士団はこの王国を守る義務があります。よって異例なことではありますが、今回卒業試験を残すのみとなったものたちは特例として全員合格とします。それで皆さんもこの国の守りについてもらいます。

 この後、各担任の所に集まってもらいたい。各担任より各自の配置先を教えます。異例づくめではありますが、王国のためです。話しは、以上であります。」校長はそう締めくくった。どうやら随分と緊急の事態らしい
話しの終わりと供にあたりがざわめきに包まれた。

 みんな自分が合格したことを喜ぶ余裕もないようだ。もちろんそれは俺も同じだ。世界の王たちが反旗を翻すなどと言うことは王国始まって以来のできごとだろう。此の先どうなっていくのか見当もつかない。ただひとついえることがあるとすれば俺の卒業後の夢は潰れてしまったということだけだ。


© Rakuten Group, Inc.
X